普段何気なく食べているお寿司でも、いざ高級寿司店のカウンター席で食事となると緊張してしまうもの。注文や食べ方のルール、マナーなど、不安に思う人も多いかもしれません。
今回は、高級寿司店での基本マナーや正しい所作について、わかりやすく解説します。注文の順番や食べ方、気をつけたいポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
押さえておきたいお寿司の基本マナー

格式ある寿司店では料理の味だけでなく、所作や心配りにも日本ならではの美意識が息づいています。職人や周囲のお客に失礼がないよう、まずは注文前に知っておきたい基本マナーを押さえておきましょう。
事前に予約しておく
高級寿司店ではカウンター席の数が限られており、飛び込みでの来店は難しいため、事前に予約を入れるのが基本です。電話予約の際は、以下の情報を伝えましょう。
- 希望日時
- 人数
- 希望予算
- 会食の目的
- 苦手な食材
高級寿司店の場合はメニューがないことも多く、その場で金額を聞くのはあまり好ましくありません。金銭面が不安な場合は、事前に予算を伝えておくと安心です。また、誕生日や接待など特別な日の利用であれば、伝えておくことで職人のさりげない配慮や粋な演出が加わることもあります。
なお、WEB予約の場合は備考欄に上記の情報を記載しておくとスムーズでしょう。
大将の近くが上座
会食や接待などで高級寿司店を利用する場合、席次が気になるところ。一般的に、カウンター席では大将や職人の正面や近くが「上座」とされ、主賓や年長者、目上の方を案内するのがマナーです。
一方で、入口に近い席は「下座」と呼ばれ、同席する中で立場が下の人が座るのが通例とされています。寿司は職人が目の前で仕上げる料理であり、座る位置によって提供のタイミングなどにも違いが生じるため、席次にも気を配りましょう。
「おまかせ」を頼むのがおすすめ
何を注文すればよいか迷ったら「おまかせ」を頼みましょう。高級寿司店での「おまかせ」は、旬のネタや新鮮な食材を盛り込んだ大将の自慢の一皿。適切な順番と調理法で提供してくれるため、安心して注文できます。
量を食べきれるか不安な場合は、事前に伝えておくとシャリを小さめに握ってくれるなどの対応も可能です。もちろん、気に入ったネタをもう一度味わいたいと思ったときは、コース終了時にリクエストすることもできます。
お寿司は手でも箸でもOK
お寿司は手と箸、どちらを使っても問題ありません。ただ、江戸時代から伝わる寿司文化としては手で食べるのが主流のため、とくに理由がなければ手で食べるのが無難です。
いずれにしても寿司は鮮度が命なので、提供されたらすぐにいただくようにしましょう。
お寿司を注文する順番

お寿司を注文する際は、料理の流れや順番を意識することが粋に見えるポイントです。味わいのバランスや視覚的な美しさなどを考慮し、適切なタイミングで注文しましょう。
①まずは酒とつまみから
必ずそうしなければならないというルールではありませんが、お寿司を食べる前にお酒とつまみを楽しむのが粋な振る舞いです。注文に悩んだら、おすすめや料理に合うものを聞いてもよいかもしれません。
高級寿司店の場合、つまみにも素材の持ち味を活かした職人の技や感性が表れます。お酒やつまみで舌を整え、会話を交わしながらゆっくりと食の世界に入っていくことで、続く握りのおいしさがよりいっそう引き立つでしょう。
②淡白なネタから濃厚なネタへ
寿司をよりおいしく味わうためには、食べる順番にも気を配ることが大切です。一般的には、まず淡い味わいの白身などから始め、徐々に赤身や貝類、甘いものというように味の濃いネタへと進むのが良しとされています。
とはいえ、食べたい寿司ネタが決まっている場合はこの限りではなく、好きなネタを好きな順番に食べても構いません。絶対的なルールではなく、あくまでこの順番だとおいしく食べられるという目安として留めておきましょう。
③一皿盛りは左から
メニューによっては、一皿に数貫の寿司が並べられて提供されることがあります。この場合は、左から順番に食べ進めるのがベターです。一皿盛りで提供される寿司には、ネタの味わいを段階的に楽しんでもらいたいという職人の意図や工夫が凝らされています。
また、左から右へと食べ進めることで盛り付け全体のバランスが崩れず、周囲から見ても所作がきれいに映ります。作り手の思いや見た目の美しさを保つという意味でも、左から食べることを意識しましょう。
お寿司の正しい食べ方マナー

お寿司を正しく食べるために押さえたいマナーは、主に次の3つです。
- 醤油はシャリではなくネタにつける
- 軍艦は醤油を垂らす
- できるだけ一口で食べきる
お寿司を美しい所作でいただくためのポイントを、それぞれ詳しく見ていきましょう。
醤油はシャリではなくネタにつける
お寿司を食べるときは、醤油はシャリではなくネタの部分につけるのが正解です。
シャリに直接醤油をつけてしまうと、崩れたりシャリに醤油の色がついてしまったりと、握りの美しさや素材の味を損なう原因になります。醤油をつけるときは手や箸で寿司を掴み、真横に倒してネタ側に醤油をつけましょう。
軍艦は醤油を垂らす
ウニやイクラなどの軍艦巻きの場合、醤油をつけるために横に倒すと具材がこぼれ落ちてしまいます。そのため、軍艦巻きは添えられたガリに醤油を含ませ、ネタの上に垂らすのが正しい食べ方です。ガリだけでなく、きゅうりなどが添えられている場合は、それらで代用しても構いません。いずれも海苔やシャリが醤油でふやけないよう、醤油の量には気をつけましょう。
できるだけ一口で食べきる
握り寿司はネタの厚みやシャリの大きさ、わさびの量などが一体となって口の中で調和するように作られているため、一口で食べきるのが基本です。何回かに分けて食べると、シャリが崩れて見た目が美しくありません。もちろん、ネタをはがしてシャリと別々に食べるのもご法度です。
一口で食べきらないと、ネタを噛み切れなくなったり、乾燥して鮮度が落ちてしまったりと、素材本来のおいしさを味わえなくなる可能性もあります。また、寿司を持ち上げる際にも、ネタが滑り落ちたり、シャリが崩れたりしないよう、丁寧な所作を心がけるようにしましょう。
お寿司のNGマナー

高級寿司店では、料理の味や職人の仕事だけでなく、空間全体の雰囲気を大切にする文化があります。知らず知らずのうちに周囲に不快感を与えてしまわないよう、NGマナーについても理解を深めておきましょう。
香りの強い香水やたばこ
高級寿司店に限った話ではありませんが、食事の場に強いにおいを持ち込むのはマナー違反です。香水やたばこなど、においが強いものが近くにあると、料理本来の香りや風味を正しく感じられなくなります。同様に整髪料やハンドクリームなどに含まれる香料にも注意が必要です。自分だけでなく周囲への配慮を忘れず、清潔感と控えめな香りを心がけるのが、大人の嗜みといえるでしょう。
業界の専門用語(隠語)の使用
寿司屋ではお茶を「アガリ」、お会計を「おあいそ」というような独特な専門用語、いわゆる隠語が使われることがあります。しかし、これらは職人やスタッフ同士が円滑にやりとりをするための業界用語であり、一般の客が使うものではありません。通ぶって隠語を使うと不自然に映るばかりか、失礼な印象を与えかねないので気をつけましょう。
以下に、よく寿司屋で使われる専門用語とその意味をまとめましたので、参考にしてください。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| アガリ | お茶 |
| むらさき | 醤油 |
| おあいそ | お会計 |
| ギョク | 玉子焼きを使った寿司 |
| ヤマ | 品切れ |
箸でお寿司を崩すこと
先に触れたように、寿司は一貫を一口で食べるのがマナーです。握り寿司はネタとシャリが絶妙なバランスで一体となるよう、職人の繊細な手仕事によって丁寧に握られています。
箸で切ったり崩したりすると、味や見た目の美しさを損なうだけでなく、職人の技への敬意を欠く行為とも受け取られかねません。とくに、やわらかいネタや脂ののった寿司は箸で持ち上げると崩れやすいため、手を使って一口で食べるのが無難です。
寿司下駄の扱い
寿司下駄とは寿司を盛り付けるための木製の台のこと。お皿代わりとはいえ、寿司下駄は寿司を美しく見せるための「提供台」の役割も担っています。
そのため、個人の皿のように寿司下駄を自分の手元に寄せたり、箸を置いたりするのはNGです。箸は箸置きを使い、寿司下駄に直接醤油を垂らすことのないよう気をつけましょう。寿司を取るとき以外は、なるべく寿司下駄に触れないようにしておくと安心です。
無断での写真撮影
無断での写真撮影は控えるのがマナーです。近年はSNSの普及により写真や動画撮影が当たり前の時代となりましたが、高級寿司店では食事だけでなく、静かで落ち着いた空間を大切にしているお店が多いもの。フラッシュやシャッター音が周囲の雰囲気を壊してしまうこともあります。
さらに、職人の手元や他の客の姿が写り込むことで、プライバシーへの配慮を欠く行為となる場合もあるので注意が必要です。どうしても記念に撮影したい場合は、食事の前や合間に「撮影してもよろしいですか?」と一言確認を取りましょう。許可が得られたとしても、フラッシュはオフにし、手早く撮るのが礼儀です。
お寿司屋での大将・職人へのマナー

高級寿司店では、職人との距離感もその場の雰囲気を大きく左右します。大将や職人に対しては、礼儀や敬意を込めたコミュニケーションを心がけることが大切です。無理に話しかける必要はありませんが、味の感想や感謝の気持ちといった簡単な会話を交わすことで、より良い時間を過ごせるでしょう。
また、「お好み」で注文は一貫ずつ細かく頼むよりも、2〜3貫程度まとめて伝えるとスムーズです。加えて、高級寿司店では長居を控えめに、2時間程度を目安に退店するのが好ましいでしょう。
お寿司のマナーに関するQ&A

ここでは、お寿司のマナーに関するよくある質問をQ&A形式でまとめました。
巻き寿司やちらし寿司はどう食べる?
巻き寿司は手と箸どちらで食べても構いません。醤油をつけるときは、ネタだけにつけるのが難しいため、海苔側に醤油をつけると食べやすいでしょう。
ちらし寿司の場合は、醤油を直接かけるとごはんに醤油が染みて味が台無しになってしまいます。醤油は食べる分だけを具材につけ、ごはんと一緒に楽しむのが粋な食べ方です。全体をかき混ぜてしまうと、せっかくの彩りや盛り付けの美しさが損なわれてしまうので注意しましょう。
ガリはいつ食べればいい?
ガリは口をさっぱりさせたいときなど、口直しの役割を持っています。脂の多いネタや濃い味のネタを食べた際に口の中をリセットし、次のお寿司をよりおいしく味わうために活用しましょう。
くれぐれも、大量に食べたりおかわりをしすぎたりしないよう、寿司の引き立て役として上品に味わうことが大切です。
お酒が飲めない場合はどうする?
お酒が飲めないときは、無理に注文しなくて大丈夫です。多くの寿司店では、お茶やノンアルコールビールなど、アルコール以外の飲み物が用意されています。お酒が飲めないことを引け目に感じる必要はなく、自分のペースで食事を楽しむ姿勢こそが粋な振る舞いといえるでしょう。
女性の服装マナーはある?
服装についてあまり堅苦しく考える必要はありませんが、露出を抑えたオフィスカジュアルを意識するとよいでしょう。高級寿司店の多くは「和」を基調としているため、雰囲気にそぐわない服装は控えるのがマナーです。
また、カウンター席は一枚板を使用した高級品です。寿司を食べるときにカウンターを傷つける可能性があるため、時計や指輪などはあらかじめ外しておきましょう。スマートフォンもバッグにしまっておくと安心です。
お会計のタイミングは?
会計はゲストが席を立った間にスマートに済ませましょう。メニューや店の方針などにより違いはありますが、一般的に玉子が提供されたら「コースの終わり」を知らせる合図といわれています。会計のタイミングは食事の余韻を壊さぬよう、自然な流れで済ませるのが粋な振る舞いです。
他にも、食事がひと段落したところで、大将に軽く「ごちそうさまでした」と声をかけることも会計のきっかけになります。注意したいのが、通ぶって「おあいそ」と言わないこと。これは店側が使う隠語であって、客側が言うのはマナー違反です。お会計をお願いしたいときは、「お会計をお願いします」と丁寧な言葉で伝えましょう。
店を出るときに「おいしかったです」「楽しかったです」のように、大将や職人に一声かけるのも大人の嗜みです。
苦手なネタやアレルギーがある場合は?
苦手な食材やアレルギーがある場合は、予約時に伝えておきましょう。「おまかせ」コースを頼む場合は、その日の仕入れに応じて職人が最適な食材を選んでくれるため、あらかじめ情報を共有しておくことが大切です。
万が一、伝え忘れてしまった場合は、提供前にさりげなく申し出てみましょう。当日の場合は仕入れの状況などにより、対応が難しいこともありますが、できる限りの配慮をしてもらえるはずです。
お寿司は正しいマナーで粋な振る舞いを

高級寿司店での食事は、ただ料理を味わうだけでなく、空間や職人の技、もてなしの心に触れる特別な体験です。場の雰囲気に合った所作や食べ方で楽しめるよう、正しいマナーを身につけ、粋な振る舞いでお寿司の魅力を存分に味わいましょう。
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